※YSカウンセリングセンター監修
こんにちは。
心の学校オウンドメディア編集部です。
学校生活を楽しむことができず、いじめや不登校に悩むお子さんを持つ親御さんの心情は、痛切なものがあると思います。
お子さんが学校に行くのを嫌がる姿や、家で過ごす時間が増える中での不安や心配は、計り知れないものです。
このような状況に直面している親御さんが多いことから、今回はいじめや不登校の問題について考え、どのように親として向き合うべきかを探っていきたいと思います。
いじめとは何か
いじめとは、主に学校やインターネット上などで、特定の個人やグループが他者に対して繰り返し行う嫌がらせや攻撃的な行為を指します。
いじめには様々な形態があります。
1.身体的いじめ
暴力行為や物理的な攻撃(殴る、蹴る、押すなど)を伴ういじめ。
2.言葉によるいじめ
言葉を使った攻撃(悪口、嘲笑、脅迫など)や、侮辱的な発言、嘘を広めるといった行為。
3.社会的いじめ
被害者を仲間外れにしたり、孤立させたりする行為。
4.ネットいじめ(サイバーいじめ)
インターネットやSNSを通じて行われるいじめ。嫌がらせのメッセージを送ったり、被害者のプライバシーを暴露したり、誹謗中傷を拡散するなど。
5.間接的いじめ
被害者本人に直接対面することなく、噂話を流したり、他者に被害者をいじめさせるように仕向けるなどの方法。被害者が加害者を特定しにくい。
いじめの被害者となった子どもは、自尊心を傷つけられ、学校生活が苦痛なものとなり、最終的には不登校に至ることも少なくありません。
いじめは一見すると学校内の問題に見えますが、実際には家庭や社会全体の問題でもあります。
この問題に対応するためには、個人、家庭、学校、社会が協力して取り組むことが必要です。
いじめの兆候を見逃さず、早期に対応することが重要です。
まずは冷静に、子供への共感から
お子さんがいじめにあっているのではないかという不安や、すでに不登校になってしまった場合の焦りは、親として非常に辛い経験です。
「何ができるのか」「どうすれば子どもを助けられるのか」と悩む日々を過ごしていることでしょう。
文部科学省では、不登校の定義を「年間30日以上の欠席」としています。
不登校になる前に、お子さんが何を感じ、何を考えているのかをしっかりと聞き取ることが大切です。
そんなあなたにこそ知ってほしいのは、まず親自身が冷静さを保ち、お子さんの気持ちを理解し、共感する姿勢を持つことの重要性です。
家族としてできること
親としてできる最初の一歩は、安心できる家庭環境を提供し、子どもが話しやすい雰囲気を作ることです。
家族が適切にサポートすることで、子どもの精神的なダメージを軽減し、いじめから立ち直る力を養うことができます。その具体的な対応策をいくつか紹介します。
1. 子どもの話を丁寧に聞く
・安心感を与える
子どもがいじめについて話すとき、親はまず冷静に、そして共感を持って話を聞くことが重要です。子どもが安心して話せる環境を作り、「どんなことでも話していいよ」という姿勢を示しましょう。
・批判や判断を避ける
話を聞く際には、子どもを責めたり、すぐに解決策を押し付けたりせず、子どもの感情に寄り添うことが大切です。「それは辛かったね」といった共感の言葉をかけ、子どもが感じている苦しみを理解していることを伝えます。
2.子どもの自己肯定感を高める
・褒める機会を増やす
子どもの良いところを積極的に褒めることで、自己肯定感を高めます。家族全員で、子どもの強みや成功体験を話し合い、ポジティブな雰囲気を作りましょう。
・特技や趣味をサポートする
子どもの特技や趣味をサポートすることで、自信を持たせます。いじめによって傷ついた自己イメージを回復させるために、子どもが得意なことに取り組む機会を作りましょう。
3. いじめへの対応策を一緒に考える
・選択肢を示す
いじめにどう対処するかを子どもと一緒に考えます。学校の先生に相談する、相手に毅然とした態度を取る、信頼できる友人に助けを求めるなど、具体的な対応策を子どもと話し合い、無理のない範囲で実行できるようサポートします。
・学校と連携する
家族として、学校と連携し、いじめの状況を共有し、解決策を模索します。家庭だけでなく、学校側とも協力して対応することが重要です。
4.専門家のサポートを検討する
・カウンセリングを受ける
いじめの影響が大きい場合、カウンセラーなどのサポートを受けることを検討します。専門家のサポートを受けることで、子どもが安心して感情を表現でき、回復への手助けとなります。
・家族全員のメンタルケア
親自身もストレスを感じることが多いので、家族全員でメンタルケアを意識することが大切です。家族一緒にリラックスできる時間を作ることも、子どもへの間接的な支援となります。
5. サポートする繋がりを強化する
・信頼できる大人や友人とのつながりを持たせる
親戚や信頼できる教師、地域のサポートグループなど、子どもが信頼できる大人や友人とつながりを持てるようサポートします。
・新しい環境や活動を提供する
習い事やクラブ活動など、いじめから一時的に離れられる環境や活動を提供することも有効です。
6. 家族間のルールを持つ
・家庭での安定を保つ
家庭内でのルールを明確にし、日常生活をできるだけ安定させることが、子どもに安心感を与えます。規則正しい生活リズムや家族の団らんの時間を大切にし、家族が一緒に過ごす時間を増やします。
子どもがいじめられているとき、家族としてできる最も重要なことは、子どもに安心感とサポートを提供し、自己肯定感を高めることです。
「放つ愛」の子どもの力を育てる
お子さんが心の病になったとしても、解決策の根本は「愛」です。
そして、重要なのは、その愛の出し方ですが、それには2通りあります。
「囲う愛」と「放つ愛」です。
これは、子育てや親子関係における2つの対照的な愛の形を表す概念です。
囲う愛とは
囲う愛とは、親は子どもを「囲む」ようにして、子どもの生活の細部にまで深く関与するのが特徴です。
「囲う愛」の場合、どうしても子どものことを「自分のもの」となりやすい傾向があります。
あまりにも囲いすぎると、だんだん子どもの自尊心が失われてくる可能性がありますので、注意が必要です。
放つ愛とは
放つ愛とは、子どもが自らの力で成長し、自己決定する能力を養うことを重要視します。
親は子どもを信頼し、失敗や困難を通じて学び、自己解決能力を発達させる機会を与えます。
親が子どもに対してどのように愛を表現するかによって、どのように子どもの力が育まれるのかが違ってきます。
「放つ愛」は、子どもが自信を持ち、自分で問題に対処する力や自己肯定感を育みます。
親が一貫して温かく、そして信頼を持って接することで、子どもは自分の力を信じ、いじめという困難を乗り越えることができるようになります。
具体的な声かけとしては…
- 「辛かったね。どんなことがあったのか、ゆっくり話してくれる?」
- 「今は無理に話さなくても大丈夫。話したい時にいつでも話してね。」
- 「それは本当に大変だったね。私も同じ立場だったら、とても辛いと思うよ。」
- 「あなたの気持ち、すごくよくわかるよ。そんなことがあったら、誰だって悲しくなるよね。」
- 「学校で何かあったら、すぐに教えてね。私たちがいつでもサポートするから。」
- 「一緒に先生に相談してみようか。あなたが安心できるように、先生と話し合いたいんだ。」
- 「どんなふうに対処したらいいと思う?」
- 「一緒に対策を考えてみよう。あなたが一番安心できる方法を見つけよう。」
- 「もし自分で解決するなら、どんな方法があるか考えてみようか。」
- 「君は本当に強いね。こんなに大変な状況でも、毎日頑張っていることがすごいよ。」
- 「自分で考えた方法を試してみたんだね。それだけでも本当に勇気があると思うよ。」
- 「少しずつでも、君が前に進んでいるのを感じるよ。いつも応援しているよ。」
声がけする時は、子どもをそのまま認め、受け入れる心で向き合いましょう。
「あなたはこんなに素晴らしい」という心で接すると、そのエネルギーは必ず子どもに伝わります。
親御さんの全身から、見えない愛のエネルギーが発せられていると思ってください。
逆に、「学校に行ってくれないと、お母さん不安なのよ」「友だちがいないと、あなたがかわいそうで心配」といった心配のエネルギーは、すべて子どもに伝わっています。
それが伝わる速さは、親子関係では特に速いのです。
親が変われば子も変わる
「親が変われば子も変わる」という考え方は、多くの親御さんにとって新しい発見かもしれません。
しかし、これは非常に重要な視点です。
子どもは親の影響を強く受ける存在であり、親自身の姿勢や行動が子どもの行動に直結します。
まず、ご自身の【夫婦関係】を見直すことも大切です。
夫婦が幸せであることは、子どもにとっても大きな安心材料となります。
子どもは、両親の関係から人間関係を学びます。
もし、夫婦関係がぎくしゃくしていると、それが子どもの心にも影響を与えかねません。
親自身の心の健康も大切
親が変わるためには、まず【自分自身の心の健康】は必須です。
日々のストレスや不安を抱えたままでは、子どもに対しても余裕を持った対応ができません。心の健康を保つためには、自分自身のケアも怠らないようにしましょう。
子どもがいじめに遭うと、親は怒り、不安、悲しみ、無力感などさまざまな感情を抱きます。これらの感情を否定せず、素直に認めることが大切です。
「自分はこう感じているんだ」と意識することで、感情に飲み込まれずに対処しやすくなります。
また、親として、子どもを守りたいという強い思いがあるのは当然ですが、すべてを完璧にしようとすると、かえってストレスが増してしまいます。
できる限りのことをする一方で、できないことがあっても自分を責めず、現実的な視点を持つことが大切です。
親がストレスや不安をうまく管理できると、子どもに対しても落ち着いてサポートをすることができます。
感情を大切にし、リラックスする時間を持ち、必要であれば専門家のサポートを受けながら、心の健康を維持することを心がけましょう。
まとめ:親が変われば、子どもも自然と変わっていく
いじめや不登校は、子どもにとっても親にとっても非常に辛い問題です。
しかし、親が変わることで子どもの状況も改善される可能性が高いです。
まずは、親自身が冷静さを保ち、子どもの気持ちに寄り添い、共感すること。
そして、自分たちの夫婦関係を見直し、家庭全体が安心できる環境を作ることが大切です。
子どもは、親の姿を見て育ちます。
親が変われば、子どもも自然と変わっていくことでしょう。
親として、まずは自分自身の心の健康を保ち、お子さんにとって安心できる環境を提供することが何よりも重要です。
どうか焦らず、親子で一歩一歩進んでいきましょう。
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