こんにちは、心の学校キャンパススタッフの川村力雄です。今回は、受講生である金優子さんから届いた、心温まるエピソードをご紹介させていただきます。
それは、金さんがお義母さんと和解してちょうど1年が経った頃の出来事です。
(金さんとお義母さんとの奇跡の和解物語は、『鬼ババァが仏の顔に変わった瞬間』(アイジーエー出版)をお読みください)
その日、朝まで元気だったお義母さんが、金さんの帰宅時にはすでに倒れており、病院に救急搬送されました。
脳死と診断され、やがて延命措置を止めるという決断がくだされます。あまりにも突然の別れに、金さんご自身ショックだったので、呼吸するのを忘れるほどだったとか。
そんな時、中学生だった次男くんが、静かにこうつぶやきました。「おばぁちゃん、生きてる間にお父さんと和解できて…本当に、本当に良かった…」
この言葉に、金さんは、嫁として少しでもお義母さんに親孝行ができたのかもしれない、と感じられたといいます。
実はそれ以前、金さんのご主人は、少し照れくささもあってか、あまりお義母さんと関わることがなかったのです。
けれどある日突然、「俺、おふくろの所に行ってくる」と言い、お義母さんの部屋に向かいました。
部屋の前まで行った金さんは、扉越しにこんな声を聞いたといいます。「おふくろ…今まで…ありがとう。ごめんな」
息子として、心の奥底にあった想いを精一杯に伝えるその声に、胸が熱くなったそうです。後にお義母さんは、金さんにこう語りました。
「優子さん、あの子がね、はじめて私に『ありがとう』って言ってくれたの。『生んでくれてありがとう』って。もう、感動したよ」
金さんは、その言葉に涙があふれ、
肩の荷が少し下りたような気がしたそうです。
家族全員がお義母さんを中心にあたたかな輪をつくり、優しい言葉をかけ合えるようになったその晩年。
お義母さんは、リウマチの持病があり、不自由な体でしたが、「自分のことは自分で」という気丈な思いを尊重し、金さんは出来るだけ見守る形で接していたそうです。
そして、お義母さんが旅立ったその日、病院から戻って部屋に入ると、思いがけない光景が待っていました。
いつもは洋服や荷物が散らかっていた部屋が、まるで業者が入ったかのように整然と片づけられていたのです。
キッチンにも洗い物一つなく、鍋も布巾もすべてきれいにしまわれていたとのこと。業者を呼んだ形跡もなく、誰も手を加えていないのに…
きっと、お義母さんは、ご主人との和解を果たし、もう思い残すことがないという気持ちで、静かに旅立たれたのかもしれません。
金さんは、時おり、お義母さんに会いたくなって涙があふれるそうですが、「きっと天国で幸せに暮らしている」と、やさしく語ってくださいました。
人生の終わりに、心が通じ合い、感謝を伝え合えたこの物語は、私たちに「今、大切な人に思いを伝えること」の尊さを教えてくれます。
今日も、最後までお読みくださいまして、ありがとうございました。また、お目にかかりましょう。ステキなお話しで、あなたを「おもてなし」いたしますので。
心の学校キャンパス・スタッフ 川村力雄