心の学校・キャンパススタッフの宇田桂子です。
私は、15歳で宝塚音楽学校に入学して、2年後には晴れてタカラジェンヌとして、憧れのステージに立っていました。
やはり人気が出るためには、男役としてカッコよくないとダメ、如何に男っぽく見せるかということを日々研究していましたが、そうは言っても、女性としても人生の中で2度とない青春時代を男役だけで終わってしまうことにもとても抵抗がありました。
そこで考えたのが、ステージでは徹底的に男っぽく、オフでは別人のように女性らしく・・・、でした。
本当にステージでの私は、とても男っぽい男役でしたが、ひとたびステージを降りると、あの頃モデルとして人気のあった、山口小夜子さんのように、髪を黒髪のボブにして、赤い口紅をつけ、男役はあまり着ないスカートをはいて、ステージのイメージとは全く別人を演出して、そのギャップを楽しんでいるようなところがありました。
なので、ステージでの私のイメージを持って楽屋口で待ってくださっているファンの方が、私が出てきてもわからないということが何度もありました。
しかし、そんなことも「これ以上は無理」という思いから、初舞台から10年経ったときに、結婚を機に退団しました。
すると今度は女性だけで生きればいいのですが、どこか対比する自分がいないと落ち着かなくて、どうしていいかわからなくなりました。
そんな私を見て主人が
「あんたは女なんだから、そのままでいいんだよ」
と言ってくれましたが、自分では納得がいかず、また、どの自分で生きるのが良いのか模索していました。
おかしいと思われるかもしれませんが、私は本気で悩んでいました。
自分を見失ったというか、どうしたらいいか本当に分かりませんでした。
でも、そんな私だからこそ、今は、何があっても微動だにしない、「本当の自分」に出会えたのだと思います。
徹底的に自分を作り上げ、その自分に対する違和感がなければ、生涯「私は宝塚にいたのよ」って、その価値観から抜け出ることはなかったと思うからです。
「本当の自分」に出会って、かつて自分が良いと思ってやっていた一人芝居の自分が、見事に剥がれ落ちていきました。
あの、自己満足の思い込みの世界から抜け出せたのは、私の人生の中の奇跡です。
人生半分以上、「本当の自分」を求めて生きていましたが、今では、あの頃の体験のすべてが、最高に光り輝く宝物だったと本当に思えるようになり、「そのまま、ありのままの自分」が大好きになりました。
心の学校キャンパス事務局
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