バラの花束

こんにちは。心の学校キャンパススタッフの熊崎美雪です。

12月は私にとって特別な月です。私の誕生日、夫の誕生日、夫と私が出会った記念日、夫の命日、これがすべて12月なのです。

2002年の私の誕生日に、宅急便で、大きなバラの花束が届きました。送り主は、5日前に亡くなった主人です。

5日前に主人は突然家の中で倒れて、私が仕事に出かけている間に亡くなりました。

通夜、お葬式、夫の生まれ故郷に戻って夫の妹のお寺で葬儀を行い、やっと家に帰ってきたばかり、一人の部屋でこれからどうしようとまだ何も考えられないで部屋の中でボーっとしていました。

その日が私の誕生日だということもすっかり忘れていました。

そういえば、半月ほど前に夫は「出張先でバラを注文したから、誕生日に届くよ」と言っていたことを思い出しました。

結婚して17年間、お互いの誕生日にプレゼントを渡していましたが、夫から花束を贈ってもらったことは今まで一度もありませんでした。

生まれて初めての夫からの花束、それも見事なバラの花束が、夫が亡くなった後に届いたのです。

大きなバラの花束を目の前に、私は涙が止まらなくなりました。

最後に言葉を交わせなかったこと、助けてあげられなかったことを悔やむ心、後悔すること、心の整理がつかない私をこの花束が救ってくれました。

「17年間ありがとう」

夫がそう言ってくれていると思えたのです。

なぜバラの花束を贈ってくれたのか、なぜ事前に手配したのか、今まで一度もなかったことばかりで不思議です。

でも、このバラの花束が私の心を救ってくれたことは確かです。

前を向いて生きていこうと一歩を踏み出すことができたのです。

それから1年8ヵ月後に、私は本当の自分に出会うことができました。

心の学校キャンパス事務局